現代の日本社会では「貧困」が存在し続けたにもかかわらず、長い間この問題は社会的に不可視化され、まるでなくなったものであるかのように思われてきました。この事情は学問の世界でも同様です。「貧困」を対象とする研究や調査に従事する研究者が非常に少なく、また若手の研究者を育てる努力も不足していました。
ところが、ここ数年日本社会は大きく変わりました。「貧困」が徐々に再発見されるようになったことは、その大きな変化のうちの一つにあげられるでしょう。研究者の間でも、野宿者の実態調査や社会的排除という新しい概念を使った研究など、「貧困」に関連した成果が徐々に見られるようになりました。とくにこうした調査研究が社会保障・社会福祉の分野だけではなく、労働・医療・法律・家族・住宅・地域政策など、さまざまな分野で展開され始めていることは注目すべきことです。
この時にあたり、わたしたちは様々な分野の「貧困」に関心を持つ研究者を募り、学会や専門領域の枠を超えた「貧困」研究の交流を活発化させ、国内外の研究者相互の連携と協力を促進するため、新たな研究会を立ち上げることといたしました。
皆様にはぜひとも研究会の趣旨にご理解・ご賛同を頂き、当会に入会いただきますようお願いいたします。