日本学術会議会員候補の任命拒否に対する声明
2020年10月5日
貧困研究会運営委員会
貧困研究会運営委員会
貧困研究会は、内閣総理大臣による第25期日本学術会議会員候補の任命拒否に対して抗議の意を表明します。
貧困研究会は2007年の創設以来、貧困の現状を明らかにする理論・実証分析研究と、貧困をなくすための政策研究を進め、2015年7月に日本学術会議から協力学術研究団体として指定され、学会として認められました。政策研究にも関わる我われの研究の土台は、学問の自由です。
日本学術会議法によれば、日本学術会議は独立して職務を行うことが明記されています(法第3条)。さらに、日本学術会議は、科学に関する事項について、政府から諮問を受け(第4条)、勧告することができる権限が明記されています(第5条)。法律は学問の自由を保障し、政府の指揮命令を受けるものではなく、むしろ、政府にあるべき科学に関する方策を勧告すること等を通じ、わが国における科学の発達を図ろうとするものです。
今回の6名の会員候補の任命拒否は、第一に「推薦に基づいて内閣総理大臣が任命する」という法の形式との整合性に疑義があります。第二に推薦があったにも関わらず任命しなかった理由が明確にされておらず、その正当性が疑われます。こうした任命拒否は、日本学術会議の独立性を損ない、法の目的である「科学の向上発達」(第2条)を危うくするのではないかと恐れます。
以上により、貧困研究会は、日本学術会議の協力団体として、6名の会員候補への任命拒否を直ちに撤回し、速やかに任命するよう内閣総理大臣に求めます。
以 上
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